第14章 檸檬
次の日から、大学への送迎をすることになった。
カズヤは素直にそれに従った。
目は虚ろで、俺達を見ては居なかった。
できるだけだったから、当然毎日は送迎できなくて…
もどかしい思いをした。
ご飯も食べなくなって…
無理やり食べさせていた。
朝の団欒の時間も、おとなしい。
「カズヤ?今日は翔さんが送っていくからね」
「うん…」
さっきから手に持ってるトーストは、一向に減らない。
相葉さんは険しい表情でカズヤを見てる。
翔さんと俺は、ただそんな二人を黙って見つめていた。
その日はだいぶ帰りが遅くなって。
玄関を開けて、カズヤのマーチンがないことに気づいて。
スマホを確認したけど、メッセージは入ってなくて。
今日は誰も迎えに行っていないはずだった。
朝、こんなに遅くなるとは言ってなかったし。
翔さんも相葉さんも、今日は遅い。
胸騒ぎがした。
車のキーを取ると、外に出た。
目立たない日本車に乗り込んで、駅のほうに車を走らせる。
カズヤが歩いていないか確認しながら走ったけど居なくて。
しょうがないから大通りに出て大学の方へ向かった。