第14章 檸檬
相葉さんの朝食が終わったら、ダイニングでゆっくりとお茶を飲んだ。
今年はだいぶ冬をゆっくりと過ごせている。
コンサートも終わって、それぞれの仕事もさほど忙しくはなかった。
来年、再来年と20周年があるから、のんびりしろってことなんだろうけどさ。
「あ、これうまいな…ごぼう茶…」
「でしょ?相葉さんが買ってくるんだよ」
「へえ…雅紀はこういうの好きだね」
「身体にいいんだって。うんこたくさん出るよ」
「うんこなんかセックスしてりゃ出るだろ…」
「言うな…まじめにエグい…」
翔さんがしれっとしてるから、なんかおかしくなって。
一人で笑ってしまった。
その時、玄関の開く音が聞こえた。
「あれ?カズヤ、忘れ物でもしたか?」
リビングを出て行くと、玄関のたたきにカズヤが佇んでた。
中途半端にマーチンのブーツを脱いでる。
「…カズヤ?」
声をかけても反応がなかった。
「おい…?どうしたの?」
肩に手を置くと、びくりとしてこちらを見上げた。
その目には、怯えが浮かんでる。
「…カズヤ…?」
「…なんでもない…」
そのまま二階へ上がっていった。