第14章 檸檬
「おはよー…」
相葉さんがTシャツに手を突っ込みながらリビングに入ってくる。
「お、今日はおとなしいじゃん」
カズヤの頭をポンポン叩くと隣に座った。
「トーストでいい?」
「おん…あ、自分でやる」
「いいよ、俺終わるから」
カズヤがキッチンに立った。
その背中は、また少し大人びている。
ふふっと微笑むと、相葉さんが俺のほっぺをつねった。
「なんだよ…なんの話してたの?」
「ん…カズヤ3年後に留学するんだって」
「あ…3年後なの?」
「うん。ハーバードだってさ」
相葉さんの目が点になった。
「はーばーど…」
「すっごいよね…あの子…」
「俺達よりもでっかい人間になりそうだな…」
「だね…」
暫くすると、キッチンから皿を持ってカズヤが出てきた。
トーストにはイチゴジャムが塗ってある。
「え…イチゴジャム…?」
「バターなかったの」
「ふぅん…ありがと」
ぱくっと相葉さんがトーストをかじった。
途端にごふっと噴き出した。
「か、カズヤぁぁーーーー」
既にカズヤの姿はリビングに無く。
「どうしたのよ…」
「タバスコ!」
ドタドタと相葉さんが走ってリビングを出て行った。
「ご愁傷様…」