第14章 檸檬
その表情は、今まで見たこともない大人びたもので…
まるで別の人間が、そこに生まれたかのようだった。
「頑張れ…」
翔さんが右手を差し出した。
カズヤはそれをぎゅっと握りしめ握手。
「約束だぞ。カズヤ」
「うん!」
にこっと笑うと、またカズヤに戻った。
あれ以来、時々大人びたカズヤが顔を出すようになり…
でも、まだ時々だけどね…
朝は、いつも子供。
「もお許してよおお!」
「だめだ。反省してますって30回書くまで許さん」
朝食のプレートを持って行くと、リビングのテーブルで正座しながら何か書かされている。
翔さんはその向こうでじっとカズヤを監視している。
まるで、息子を叱るお父さん…
ぷぷ…と笑いながら朝食の準備をする。
相葉さんが焼いたパンを運んでくる。
「なに、あれ」
「反省文書いてる…」
「すげえな…東大くん…」
二人で笑いをこらえながら、朝食の準備をした。
「あーーーー終わったぁ…」
テーブルに朝食を並べ終わる頃、カズヤの声が聞こえてきた。
「よし。じゃあ返してやる」
「ごめんね?翔…」
カズヤが翔さんを見上げる。
「二度とするなよ?」
デコピンをすると、カズヤは蹲った。