第14章 檸檬
「雅紀ぃっ…助けてぇっ…」
「んー…つっても、どうせお前が悪いんだろ?」
「うう…」
「なら怒られとけ」
そう言って、相葉さんはキッチンに入ってきた。
「おはよ、和」
「おはよ、相葉さん」
俺はフライパンをコンロに載せると、火を調節した。
相葉さんはそれを見守ってから、俺を引き寄せる。
ちゅっとキスすると、ぎゅうっと俺を抱きしめた。
「今日もかわいいなぁ…」
「ばか…」
Tシャツ越しの相葉さんの体温が心地よくて、そのまま抱かれる。
トクントクンと鼓動が聞こえてくる。
「あの二人、いつまでやってんだろうね?」
リビングを見ると、まだアイアンクローされているカズヤが見えた。
「さあ…恒例行事だからね…ここんとこ毎日じゃん…」
カズヤが東大に入学した。
一発合格。
本当に凄いもんだと思う。
でも、入学祝いをしていたその席で、もっと驚くことがあった。
「にーの、翔、雅紀…俺、これからが本番だと思ってる」
カズヤは、大学に合格したことがゴールではないと語った。
自分の夢…
そこに辿り着いた時、本当に夢が叶うのだと。
「俺、あんな地獄みたいなところから、ここまでなれるなんて思ってなかった。だから…しっかり頑張るからね」