第14章 檸檬
「にーの!俺の時計知らない!?」
「知らないよ!だからいつも決まった所に置けって言ってるだろ!?」
「置いたよ!でもないの!」
フライパンを持ちながら見守っていると、リビング中ひっくり返してる。
「あああ!翔に怒られる!」
翔さんが入学祝いにプレゼントしたタグ・ホイヤーを探しているらしい。
「時計ってこれのことか?」
いつの間にか、リビングの出口に翔さんが立ってた。
カズヤの時計を手に持ってる。
「あっ…」
カズヤの顔が引き攣った。
「カズヤ…お前なぁ…」
「ご、ごめんっ、翔!」
カズヤは飛びつくように時計を奪おうとしたけど、翔さんは手を上に上げて、カズヤの額を片手で握りこんだ。
「いだだだだ…」
「お前なあ…何度言ったらわかるんだ…なんで風呂場に時計があるんだ!」
「ああああ…だってぇっ…外すの忘れて…」
「馬鹿野郎!いくら防水だからってなぁ!」
「もおおお!壊れないからいいじゃん!返してよお!」
「許さん」
大人げなく二人が争っている後ろに、眠そうな相葉さんが立っている。
「なぁにしてんの?朝から…」
Tシャツに手を入れて、ボリボリ腹を掻いている。