第12章 退紅(あらそめ)scene2
「すいませんねえ…時間作っていただいて…」
あれから一週間。
男はしつこく連絡してきて…
事務所と相談して、一回だけ会うことになった。
どこまで把握しているか、知っておく必要もあったし…
「で…何を聞きたいんです?」
信濃町の古びた喫茶店。
なんでこんなとこ…
一番端のボックス席に男は座っていた。
「いえね…どんな方だったのか…それが知りたくてね…」
男はポケットからタバコを取ると、火をつけて吹かした。
「あなたの事務所の誰に聞いても、教えてくれないんですよね…」
そりゃそうだろ…
少年と言える年齢の男を片っ端から喰ってたんだ…
そんな奴のことなんて語れるか。
「仕事熱心な方でしたよ」
「へえ…」
「特に関西での仕事は、大きかったと思います」
「関西、ねぇ…」
男はメモを取る様子もない。
レコーダーも用意してないから、やっぱり聞きたいのはそこじゃないんだろうな…
「それはKTOTOKYOのことですか?」
「え?」
「オタクのリーダーも主演されてましたよね?」
「え、ええ…それも彼が主導して実現した企画です」
「へえ…」
鼻から煙を吐き出した。