第12章 退紅(あらそめ)scene2
智くんを抱きしめながら、俺は満たされていた。
なんでこんな気持ちになるのかわからなかった。
智くんを守っている。
そのことが、酷く俺を満足させていた。
「大丈夫だから、ね。智くん」
「翔くん…」
すがりついてくる智くんは、俺のものだ。
誰にも傷つけさせない。
「大丈夫…俺が守ってあげるからね…」
こくりと頷くと、安心したように腕の中で目を閉じた。
だんだん重くなっていく体重に、めまいがするかと思った。
幸せすぎて…
安心して眠りに落ちる智くんは、綺麗で…
だれよりも綺麗で…
ベッドに寝かせると、いつまでもその寝顔を見つめた。
「安心して…ここにいてね…」
次の日、収録に行くと楽屋が葬式の会場みたいになってた。
「ごめんね。翔ちゃん…迷惑かけて…」
口々に俺に謝ってくるメンバー。
いちいち頭を叩いてやった。
「俺だってタイミング悪かったら、お前らの兄弟になってたかもしれないだろ…」
そう言ったら、ちょっと笑ってくれた。
智くんも、ぼーっと一日過ごしていた。
だれもそれからはその話題には触れず。
その日発売された雑誌は、とんでもない騒動になった。
覚悟してたこととはいえ、メンバーの打撃は相当だった。