第12章 退紅(あらそめ)scene2
家に帰ると、智くんがいなかった。
もう帰ってきてる時間なのに…
「智くん…?」
呼びかけても返事はない。
玄関に戻って靴を確認すると、いつも履いているスニーカーがあった。
「智くん…?」
どの部屋を探しても智くんの姿がない。
最後に行った寝室のクローゼットで、コトリと音がした。
そっと開けてみると、智くんが蹲ってた。
「…どうしたの?智くん…」
智くんが涙に濡れた頬を上げた。
「翔くん…ごめんね…?」
「…なんで謝ってるの…」
「だって…俺…」
「気にしないの…さあ、出てきて?」
智くんの手を取る。
冷たい…
「翔くん…ごめんね…」
「いいから…おいで?」
「俺…翔くんの足手まといになった…」
「なんで…?そんなことないよ」
「アヤのこと…あんなことに…」
「うん…わかってるよ…聞いたから…」
「ごめんね…ごめん…」
「いいよ…若い時の話だし…」
そっと智くんを抱き寄せた。
身体が震えてる。
ベッドに腰掛けて、智くんを抱きしめた。
「大丈夫だよ…事務所はこの後全力で抑えるっていってるから…」
「うん…」