第12章 退紅(あらそめ)scene2
「翔くん、おはよう」
「ああ…智くんおはよう」
イスに座っている俺を後ろからふわっと抱きしめてくれる。
「今日も…愛してるよ」
そう囁くと、耳まで真っ赤にして洗面所へ逃げていく。
ふふっと笑みが漏れる。
また新聞に目を落とす。
言いようのない不安が這い上がってくる。
ぐしゃりと新聞を閉じた。
それからの日々は順調で。
俺と智くんの写真も何回か撮られたけど、あまり問題にもならず。
だって、男同士だし。
嵐では手を繋いで歩くことなんて、結構あったし。
だから普通にしていられた。
そんな俺たちを見ても、事務所の人間もなにも言わず…
そうだよな…
もっとでかい爆弾抱えてるんだからな…
俺の仕事は、アイツのことを智くんに知られないようにすることだけ。
それだけだ…
半月ほど経って、ようやく俺はそこに落ち着いた。
やっと日常を送ることができるようになった。
「翔くん、最近よく眠れるようになったね」
智くんにそんなことを言われた。
「そう…?ずっと良く寝てたよ?」
「だって…なんか夜うなされてたよ…?」