第12章 退紅(あらそめ)scene2
その日から、注意深く智くんを観察した。
知らない方がいいことだってある。
アイツがどうなったかなんて、智くんには話してなかった。
アイツが智くんだけでなく、たくさんの後輩たちに手を出していたのは事実で。
あんなことになってしまったのは、自業自得で。
だけど、これを智くんが知ってしまったら。
自分のせいだと思うだろう。
智くんなら、そう思うだろう。
その先、智くんがどうなっていくかなんて容易に想像ができた。
自分で自分を責めて…
ボロボロになって…
先のない後悔の世界に、漂うんだ。
また、俺を置いていくんだ…
智くんが、少しずつ俺の部屋に荷物を運んでいる。
仕事の合間に、俺も手伝って。
だんだん、俺と智くんの城になってきた。
「翔くん、これどこに仕舞ったらいい?」
かわいい顔をして、首をかしげて聞かれる度に押し倒したくなる。
でも、我慢だ。
俺の家に泊まる頻度もだんだん多くなって…
今ではほとんど一緒に暮らして居ると言っても過言ではない。
そんな幸せを誰にも邪魔されたくなかった。
だから、ずっと智くんに注意を払っていた。
アイツのこと、知られないように…