第12章 退紅(あらそめ)scene2
そのまま俺の手を頬につけた。
「とっても嬉しかったんだ…」
智くんの熱が伝わってくる。
本当に喜んでくれたんだ…
嬉しい…
俺も、嬉しいよ…
信号で止まって、すぐに手を引き寄せた。
唇を奪うと、そのまま深くくちづけた。
「ん…翔…」
小さな小さな声で囁かれる俺の名前に、身体が震えた。
「今日…俺の家、きなよ…」
「うん…」
最近、仕事が詰まっていて逢瀬は主にホテルになってた。
智くんの家は新宿だし、俺の家は足の踏み場がなかった。
…片付けろと思うだろ…
俺もそう思う。
しかし、もう極限まで来てて手をつけることができなくなってた。
このままだと智くんとゆっくり逢うこともできない。
そう思った俺は、思い切って引っ越すことにした。
ちょうどその頃、智くんも品川に引っ越したいと言い出していた。
いいチャンスだった。
しかし仕事は待ってくれなくて、荷物を準備する隙がない。
最後には家族に助けを求めて、無事に引っ越すことに成功した。
そして、今に至る。
これで智くんが引っ越してきてくれたら…
そこは天国。
俺たちの新しい生活がスタートすることになる。