第7章 虫襖-ムシアオ-
「もう…限界だよ…ニノ」
「え…?」
「俺、もう疲れた」
そう言って、俺の手を離した。
「や…だ…行かないで…雅紀…」
「どうしてお前が自分のこと、そんなに傷めつけるのかわからない」
「それはっ…」
「俺にしたこと、気にしてるなら、それは違う」
「え…?」
「俺は、自分でそうしたくてしたんだよ?」
「まさ…」
「あの時だって、本当は逃げようと思えば逃げられたんだ。あの時だけじゃない…いつだって、ね…」
「なんで逃げなかったの…?」
冷たい目が、悲しそうに歪んだ。
「わからないの…?ニノが好きだったから…だから…」
そっと、俺の身体を上着で包んだ。
「ニノが望むなら、俺なんてどうなったってよかったんだ…」
「雅紀…」
「どうして、自分を大事にしてくれないの?どうして?」
「俺は…」
「そんなニノ、見てるの辛い」
きっぱり言うと、雅紀は立ちあがった。
背を向けて、楽屋を出ていこうとする。
「待って…雅紀…いやだ…」
「ごめん…ニノ…」
一度も振り返らず、雅紀は出て行った。
呆然としてる俺を放って、潤も楽屋を駆け出て行った。
俺は、一人になった。