第7章 虫襖-ムシアオ-
「あっ…ああっ…雅紀ぃっ…」
潤が驚いて振り返るけど、またすぐに俺を突き上げた。
「ギャラリーいるから、和也をいい声で鳴かせてあげるよ…」
そういいながら、激しく俺を揺さぶった。
「あああっ…潤っ…いいっ…」
「もっと鳴けよっ…和也っ…」
揺れている俺達を、雅紀はただ呆然と見つめていた。
やがて俺たちが果てると、扉の前で崩れ落ちた。
「なんで…ニノ…?なんで潤なの…?」
絞りだすような声が聞こえた。
夢見心地の中で、俺はまだ雅紀の心に棲んでいるのだと嬉しくなった。
「わかんないよ…借金返し終わったんだろ…?なんでまだこんなことしてんだよ…」
なんでそのこと…
「どうして俺のこと、愛してくれなかったの…最初から…愛してなかったんだよね…?」
「違う…雅紀…」
「嘘つき!」
「雅紀…」
「俺を傷つけたかったの?俺が憎かったの?ねえ、なんで?」
ぽろぽろ涙を流しながら俺を見る。
ああ…綺麗だな…
どうして雅紀だけ汚れないんだろう…
俺はこんなに真っ黒なのに…
「雅紀…愛してる…」
そう言った俺に、雅紀は驚いた顔を向けた。
そのままその瞳は、冷たい光を帯びた。