第5章 レイヴンscene2
収録を終えて、俺はすぐに楽屋を出た。
潤にあわせる顔がない。
それに、楽屋での二人を見る勇気もない。
収録中の二人の間に流れる空気は、すこし乾いてて。
でもあの二人なら、すぐに修復するだろうと思った。
そこに俺の入る隙間はない。
割り込んでいったのは、俺の方だ。
俺はまた、深海に潜るだけだ。
日向を夢見たのがいけないんだ。
俺には、似合わない場所…
エレベーターに乗り込む。
スタッフさんが見送ってくれる。
その後ろをかき分けて、飛び込んでくる人がいた。
「雅紀っ…」
「お疲れ様で~す!」
にこにことスタッフさんたちに挨拶して、クローズボタンを押した。
ふたりきりになると、俺の手首を掴んだ。
「雅紀…」
そのまま何も言わず、移り変わる数字を見上げてる。
「ちょっと…雅紀っ…!」
腕を振りほどこうとしたけど、強い力で握られてて。
「なんの…つもり…?」
答えない。
地下の駐車場に着くと、強引に雅紀の車に押し込められた。
「なにすんだよっ…!」
「家、行っていい?」
「…え?」
そのまま、雅紀はアクセルを乱暴に踏み出した。
嫌な音を立てて、タイヤが滑り出た。