第5章 レイヴンscene2
楽屋に戻るとき、向かいから雅紀が歩いてくるのが見えた。
「ま…」
声をかけようとしたら、後ろからニノが走ってきた。
雅紀になにか呼びかけた。
雅紀が振り返ると、ニノが転びそうになって…
そのまま雅紀の腕に倒れこんだ。
雅紀はぎゅっとニノを抱きしめた。
思わず目を逸らした。
なんで…?
なんでニノなの…?
もしかして…昨日一緒にいたのも、ニノ…?
そこから動けなかった。
雅紀とニノが楽屋の方へ、笑いながら歩いて行く。
俺はそこから一歩も動けなくなった。
深い…
深い沼に、腰まで浸かってる気分だった。
不意に肩に手を載せられた。
振り返ると、翔くんが居た。
「潤…?様子おかしいけど…どうした?」
感情の堰が、切れそうだった。
うつむいてしまった俺をみて、翔くんが手首を掴んだ。
そのまま空き部屋へ俺を押し込んだ。
「潤…どうしたんだよ…」
ぽろっと涙が零れた。
「潤?」
「なんでも、な…」
「なんでもなくないだろ…」
手首をぎゅっと力を込めて握られた。
「俺で良ければ、聞くから…」
「翔、くん…」