第5章 レイヴンscene2
昼になっても、雅紀は帰ってこなかった。
今日は午後から、嵐でレギュラーの収録で。
いつも一緒に家を出るのに、結局時間までに雅紀は帰ってこなかった。
電話もない。
胸騒ぎがする。
事務所の車に揺られながら、嫌な事ばかり考える。
局について、楽屋に入ると翔くんが来てた。
「おはよ、潤」
新聞を読みながらコーヒーを飲んでる。
「あ、おはよ…」
ソファーに荷物を置きながら、雅紀の姿を探すけど、いなかった。
マネージャーに、雅紀から連絡がなかったか聞いてみる。
今日は俺とは別で入るって連絡があったそうだ。
なんで俺には連絡してこないの…?
立ち尽くしていると、翔くんが俺をじっと見てるのに気づいた。
「どうしたの…?潤」
「あ…なんでもない…」
心配かけたくなくて。
誰にも言えないと思った。
ぎゅっと手を握ると、楽屋を出た。
一人になりたかった。
喫煙スペースに入った。
もうタバコをやめたけど、吸わずには居られなかった。
顔見知りのプロデューサーが居たから、一本貰ってライターを借りた。
すぅっと吸い込むと、頭がクラクラした。
「なに?松本ちゃん…失恋でもした?」
そう言いながら、プロデューサーは小指を立てた。
俺は苦笑いするしかなかった。