第5章 レイヴンscene2
眠れない…
こんなこと、初めてだった。
雅紀が帰ってこない。
一緒に暮らして、二年が経とうとしていた。
どんなことがあっても、雅紀はうちに帰ってきてたのに…
いつも一緒に寝ている、キングサイズのベッドは、一人じゃ広すぎて…
夜中に何度も寝返りをうつ。
雅紀の枕に顔を埋めると、雅紀の匂いがした。
暫く顔を埋めて、雅紀を思った。
早く帰ってきてよ…
早く抱いて…
最近気づいたんだけど…
たまに雅紀は、朝出て行った時と違う香りをさせて帰ってくることがある。
仕事に行ってるから、仕事先でシャワーをしてくることもあるんだけど…
いつも、その香りが同じ気がする。
石鹸やボディーシャンプーの匂いじゃない。
誰かの移り香。
この前、楽屋でその香りを嗅いだ気がした。
でも誰の香りかははっきりしなかった。
もしかして、他の誰かと会ってる…?
それも、嵐の中で…?
そんなバカな…
だって、皆、俺と雅紀が付き合ってることは知ってる。
付き合うって報告したときも、一緒に暮らすって報告したときも、みんな祝福してくれた。
嫌なこと考えた…
きっと一人だから…
独りの夜って、こんなに淋しかったっけ…
こんなに胸騒ぎがしたっけ…