第17章 正月太りには気をつけろ
家を出た二人はなるべく人がいる所を避け静かな所へと足を向け、銀時は天音が歩く速度に合わせゆっくりと歩く。特に言葉も交わさなかったが、天音にとってはこんな風に無言で居ても心が落ち着いて居られる関係に嬉しさを感じていた。だがふと新八の話が脳裏に浮かびそれが咄嗟に口に出る。
『銀さんって、桂さん達と何を相手に戦ってたんですか?』
銀時「ん?そんなの一体誰に聞いたんだよ。」
そう聞かれ新八から聞いたと何の迷いも無く言うとため息をこぼす銀時を見て、言わない方が良かったかなと少し後悔した。銀時はそこから何も話そうとはせず、さっきの沈黙とは一転、なんとも気まづい空気に変わってしまった。
『ごめんなさい、変な事きいてしまって…。』
銀時「あー、いいのいいの。そもそもそんなでかい口叩いて話すような事でもねェしな。」
そう言う銀時の横顔は天音の目には悲しく映っていた。聞いたところでどうする事も無い、ただの自己満足だと分かっていたが、やはり銀時について何も知らない事を寂しく思った。軽く俯き表情を曇らせる天音に気付いた銀時はまた何時ものように冗談を投げかける。