第74章 長い夜
櫻井視点
大きく首を回し 心拍と気持ちを落ち着かせ 周りを確認する。
ニノの部屋は間接照明だけになっている。
(橋本さんは退室したんだね…)
ゆっくり立ち上がりニノが寝ているベッドまで行く。
ベッドの周りには 回復系の精霊たちが飛び回っている。
(明日までに何とか回復させてね よろしく)
(さて…なんか飲むか…)
両手をもみもみ。
自分の部屋じゃないけど 備え付けの冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
(明日 返したらいいよね …あ…もう、今日か…)
腕時計で日付が変わっている事を確認する。
ビールをゴクゴクっと飲む。
「はぁぁ 一人酒 演歌を聞きながら…」
ビールの缶を持ったままニノのベットに行く。
「和也さんよぉ
何があったのか、なぜ 勝手に動いたのか
問い詰めたいけどさ
こんな天使な寝顔を見たら コンサート終わってからでいいかって 思っちゃうよぉ」
布団から出ている手をそっと戻す。
「外が白むまでは、俺が傍にいるからね」
布団をポンポン叩いて離れる。
和也が見える角度のソファに座り、何もない空間から俺の手帳を取り出し、セトリの書いたページを開く。
≪客観的映像≫
手帳が輝き 目の前に280度のスクリーンが現れる。
飛んでくるヘリが見える。
俺たちが登場すると、歓声をあげてくれる観客。
やっぱ キャーは最強だね
三倍速で位の勢いで順調に映像が進んでいく。
天気もよくて、音響の調整もいい感じ
俺の周りに共に歩む精霊たちが集まっていた。
{王子よ 器は問題ないか}
俺の器? 問題ないよ
それより 少し 天気よすぎた?
映像を指さす。
{そりゃ 虹の精霊の祝福を受けた貴方達の宴よ 膨大な自然神もお見えになっていたわ}
{最中に立葵の小倅が楯を張りおったな}
{そうそう せっかく 御子達の周りを飛び回れる数少ない時を阻害されちゃったわ}
そういうな 日本に帰ったら 次のツアーで舞ってくれよ
{そう?次は“でちたる”とか言う音波だったわね?}
音波って… まぁ 似たようなものですね
{・・・・ ・・・・ ・・・}
280度のスクリーンを見ながら 精霊たちが人知を超えた指摘を思い思いに話をしている。