第44章 通しリハ
松本視点
このコンサートの肝である スチールドラムをメインメロディを奏でてもらう。
今は音源を流しているから、タイム管理はできる。
『映像入ります メンバー着替えです』
マイクに声を乗せ伝える。
(ふぅ 本番は生演奏…俺たちのリズムと向こうのテンポで何秒のロスがでるかなぁ)
音声無しの映像のみスクリーンを確認する為機材ブースに向かう。
犬養「ボス 水です」
犬養がペットボトルを持ってきた。
「ん ありがとう」
ボトルを受け取り、キャップを開ける。
ゴクッと一口飲むと、冷たい水が喉を通るのが分かる。
陽が落ちたといえ 南国ハワイ。日本とは違う夏の温度。
(歌っていない、俺がこんなに喉が乾くんだ…みんな…大丈夫かなぁ)
「“リネシアンショー”のリハーサル準備して!」
スタッフ「伝えてきます」
「メンバーが 着替えが終わったら、今のメインステージの状況を説明してくれる?」
スタッフ「はい」
スタッフがメンバーのいるステージ下に向かってくれる。
「相葉くん 聞こえる?」
相葉くんに直接連絡する。
Aモニ『聞こえるよ』
少しキーの高い相葉くんの声が聞こえる。
「ジャンプの所だけど…」
Aモニ『うん。分かった。気を付ける!』
「まだ、何も言ってないよ?」
A『気合い入れ過ぎて、飛び過ぎるな』でしょ?もう、分かってるって!』
「ホントに?」
A『大丈夫!ちゃんと足で飛んで、体の重さで着地するから!!』
「ケガしないでね?」
A『もちのろんです!!』
鼻息荒い顔が浮かんできそうな声。
(いやいや その空回り感が心配なんだよ…早めにスタンバイさせた方がイイかなぁ)
A『呼んでる いくね』
(ついたのか…)
メインステージにダンサーたちが立ち位置や炎の供給順を確認している。
(炎の高さも見ておかないと…)
「ねー 炎噴射も一緒に確認できる?」
ステージを指さして聞く。
スタッフ「できます」
「確認したら(メンバー)飛ぶ時間ある?」
スタッフ「問題はないと思いますが…」
少し顔色が曇る。
「うーん…」
一瞬 ミラクル相葉ちゃん が脳裏をよぎる。
「ジャンプリハ パスね」
スタッフに指示を出す。
スタッフ「わかりました」