第1章 ファンタジー、だからね?
(なんだろう、直々に話したいことって。)
最近特に仕事で大きなミスや問題を起こしたことがあっただろうかと思い返すが、覚えがない。でも、社長には思い当たる節があるのだとすれば、他の社員から何らかの報告があった可能性がある。
何にせよ、思い当たる節がない以上は社長からお言葉をもらうことで気をつけていくしかない。
ひとまず、はやる気持ちを抑えて業務を始める。
そして、あっという間に終業時間。
「はぁ。」
「何、どうしたの?溜息ついちゃって。」
隣の友人に声を掛けられ、溜息をついていたことに気付く。
「私、そんなにあからさまに溜息ついてた?」
「うん、ついてた。いつも通り仕事はしてたけど、なんか変。」
やはり、いくら隠していると言っても変化には気付かれているみたい。
「ちょっと社長に呼ばれてて。私、何かミスしたのかと思って。そもそも、入社して社長に呼ばれること自体ほとんどなかったから。」
「なるほどね。でも、今それで考えてても仕方ないよ。それに、定時に仕事終われて、社長をお待たせするよりはいいよ!まずは、早く社長のとこ行って、怒られたら怒られたで気を付ければいいし!ほら、早く行った行った!」
そう促されて、半ば強引に退出させられてしまった。