第2章 Prologue*尽Side
「いや、今日は友達と茶会だかで居ないけど」
「そっか……たまには帰って来なさいってこの前電話で言われたから、来週の日曜辺りに帰ろうかと思って。一応お母さんに伝えておいてくれる?」
「ん……了解。伝えとくよ」
「お願い、じゃあまたね」
「あいよ~」
ブツッと電話が切れると、ツーツーという虚しい機械音だけになる。
ゆっくりと耳から携帯電話を離した。
ジワジワと後になって、後ろめたい感情が溢れてくる。
「頭の中で姉貴を汚して……彼女は蔑ろにして。俺って最低だな」
ククッと喉を鳴らして自らを嘲笑う。
表面上はいい弟の絵面を演じながら、頭の中では実の姉を何度も汚しているのだから。
自嘲笑いしか出てこない。
なんか、最近色々と限界だ。
俺の中でピンと張りつめた理性の糸。
きっと……小さな負荷が与えられれば、あっさりと切れてしまうに違いない。
「なんで……姉貴なんだろうな」
実の姉に恋をする。
それは許されない罪で、不毛な恋心。