第3章 進路相談*尽Side
正直、それに付き合うのは面倒だったんだけど……
「お願い、一度だけでいいの。それが終わったら、もう尽には一切付きまとわないから」
「はぁ……分かった。いいよ」
「!! じゃあ、今日の放課後に。校門で待ち合わせね」
周りの女に嫉妬するような仕草を見せていたから、その女には前々から鬱陶しさを感じていた。
もしかすると、そんな俺の態度を彼女も察していたのかもしれない。
どちらにしても、彼女と縁を切るのは俺も本意だったから。
その誘いを受け入れることにした。
――それが、間違いだったのだろうか。
「あっ。あれって…? 尽のお姉さんじゃない?」
「え……」
店が立ち並ぶ街中の裏通り。
ある店の角から覗き込むと、ラブホテルばかりが立ち並ぶ通りに面している場所が見えるのだが。
彼女が指差すその先。
立ち並ぶ建物のひとつに、姉貴がスーツ姿の男に肩を抱かれるようにして一緒に入っていくのを見た。
「……っ」
「尽? どうしたの?」
「いや……何でもない」
口ではそう返しながらも、内心はドロドロとした嫉妬で埋め尽くされていた。