第3章 進路相談*尽Side
「……ったく、行くつもりなんて無かったのによ」
ガリガリと頭を掻きながら、夜の街頭に照らされる少し肌寒いコンクリートの薄暗い道を歩く。
五月も半ばとはいえ、夜の空気はひんやりとしている。
両親には事情を話した上で、明日は学校が休みだという事もあってすんなり出掛けるのを許された。
「まぁ……疑う訳無いよな」
俺と姉貴は、事実上血の繋がった姉弟だ。
電話を掛けて『相談がある』と口にした俺に対して、姉貴も微塵も疑っている様子は無かった。
純粋に俺の悩み相談だと信じ込んでいるらしい。
俺に男としての下心があると、気付かないで。
「……けど、そろそろ限界なんだよ。俺も」
セフレの女の一人が今日、『別れたい』と言い出した。
当然俺は引き留めることもなく、あっさりと了承したんだけど……その女は『別れる前に一度だけデートがしたい』とか言い出したのだ。