第22章 No.1は誰だ!
「赤の間 エントリーNo.4 翔」
「翔さん、ご指名です」
「あぁ、そう。で、どんな感じ?」
って、聞いたところで答えてくれるわけねぇか…
さて、今日のゲストはどんな話題がお好みだろうか?
政治? それともゴシップ?
…ファッションは苦手だな…
「いらっしゃいませ、翔です」
床に跪き恭しく頭を下げながら、お決まりの挨拶をする。
「あ~、堅苦しい挨拶辞めてよ~。それよりさ、ここ座って?」
な、なんだ?
随分と軽いノリだが…
「は、はぁ、失礼します」
少々戸惑い気味にゲストの隣に腰を降ろす。
「お飲み物は…」
グラスとピッチャーを引き寄せ、トングを手にする。
「う~ん、そうだなぁ? 俺決めらんないから、翔が決めてよ」
俺が?
俺が決めたら、確実にビールっしょ?
でも残念なことに、それがここにはないんだな。
「で、では…」
不器用な手つきでトングを操り、氷をグラスへと運ぶ…が、氷はグラスに到達する前にトングから滑り落ちてしまう。
「あっ、失礼しました」
氷はテーブルの上を華麗なスケーティングで滑り、ゲストの膝の上に落下した。
「あ~あ~、濡れちゃったよ…」
「申し訳ございません! お客様のお召し物が…」