第5章 N×A【ずっと、君だけに】
嵐さんは仲が良いですね。
なんて、スタッフに言われるのは
毎日のことだ。
「まさ…」
名前を呼び掛けて、
やっぱり、やめた。
共演者の女優さんと、
楽しそうに話す雅紀。
それを見ていたら、
男より、女の方が
やっぱりいいんだろうな。
なんて、考えてしまう。
メイクが終わったあと、
雅紀が俺に微笑みかける。
それが、すげえ好きで。
「ニノーっ♪」
なんて、すごい笑顔で
引っ付いてきてくれる。
「あっついから…」
頬は素直でも、
口は素直じゃないから。
…ま、それが俺なんだけど。
「ニノ、ニノ、」
って、いつも言うんだ。
……俺は、お前を騙してるのに。
……なんでそんなに、
純粋な心のままなんだよ。
ずりいよ。
「…ニノ?」
たまに、心配そうに
俺の顔を覗く。
…なぁ、雅紀。
お前はなんでそんなに
綺麗なんだ…?