第5章 N×A【ずっと、君だけに】
お前を騙していることの罪悪感と、
少しの幸せ。
どちらかというと、
罪悪感の方が大きい。
…当たり前か。
「ニノ、コーヒー飲む?」
「んー、お茶がいい。」
「はーい」
俺の隣には翔さん。
今日もやっぱり新聞を読んでる。
ちょっと上目遣い気味に、
「変わったこと、ある?」
って、聞いてみる。
翔さんは鈍感だから新聞を見つめたまま、
「んー、ないよー」って。
…んー。
あんまり気付かない。
「ふうん…」
「なに?ニノがそんなに興味持つなんて
珍しいじゃん?」
「ふへへ、そう?
俺だって一応大人だから
ニュースくらい見るよ?うん。」
「そっかぁ…」
翔さんが柔らかく微笑む。
…んー、ガード固いな。
ただのアイドルスマイルを、
何度見ただろうか。
この人が本当の笑顔を見せることなんて
稀だから。
…大野さんと一緒じゃないと、
見せてくれないかもなぁ…。
翔さんの大きな瞳を見てたら、
雅紀が俺の隣に座った。
「ニノ、くんできたよー」
「お、さんきゅ。」
「最近さぁ、相葉くんとニノ、
よく一緒にいるよねえ。
デキてるの?」
「ぶふっ!」
翔さんが急に、そんなことを聞くから、
お茶を吹き出しそうになった。
「うわっ、きったね!
気を付けろよな!」
「げほっ、ご、ごめん…
てか、そっちこそなんでそんなこと聞くんだよ!」
「別に?
全然変に思わないし。」
…でしょうね。
雅紀の顔を見たら、
複雑そうな顔。