第5章 N×A【ずっと、君だけに】
「俺はお前のご主人様だから、
反抗なんかすんじゃねえよ。
このクソ忙しいときに来やがって。」
「ご、ごめんってぇ……」
「ばあか、もう遅ぇんだよ。」
雅紀のうるさい唇を塞ぐ。
そうしたら、甘い声が漏れ始めた。
俺の肩を押そうとしてるけど、
全然力が入ってない。
弱々しいな。
いつもはあんなにバカ力なのに。
こんなときだけ弱くなるなんて、
お前は乙女かよ。
心のなかで突っ込みながら、
雅紀を見る。
「んーっ、苦し…」
「…鼻から息しろって
いつも言ってんだろ。」
「……そっか。
練習しなきゃね…。」
むっ…。
「ふぅん?誰と?」
こんなことにいちいち嫉妬する俺は、
器が小さい。
「え、そりゃぁ、ニノに決まってるじゃん。
他に誰がいるの?」
「…っ(きゅん)」
あまりにも笑顔が輝いてて、
可愛かったから、また、キスをした。
雅紀のシャツに優しく手をかけ、
ゆっくり脱がせる。
ちらっと見えた腹筋。
いつもいつも、見せるのは
俺だけじゃない。
それが、すっげえ悔しい。
なんで俺だけじゃないんだよって
いつもいつも思う。
我慢、してんのに。
アイツは、そんなこと気にしてなくて、
ただただ肌を露にする。
少しぐらい、気にしろよな。