第1章 A×S【不規則な】session 1
それから、お互い別々の高校へと進学した。
「…しょーう。」
「なにかー?」
俺の隣で漫画を読んでるコイツは
二宮和也、俺の幼馴染み。
「ねーねー、暇ぁ…」
「勉強の邪魔だから
出てってくれる?」
「翔ひどーい」
リュックの中から
参考書とプリントを
出してきた和也。
「エリート高に進学した
翔ならわかるでしょ。
俺、今年受験生だもん。
だから、教えてー?」
耳元で、しかも、甘ったるい声で
囁かれた。
俺はこの手が一番嫌いだ。
「んなことしなくても
教えてやるから…
とりあえず、離れろ」
「ちぇっ、つまんねーの」
…つまんないとか、
そういう問題じゃねえし。
「ここわかんなあーい。」
「…考えてもないくせに
言うな。考えてから言え。」
「翔鬼畜ー。」
「黙れ。」
和也にデコピンをして
黙らせた。
…せっかくの休みが
勉強で潰れそう。
「ほら、はーやーくー。」
「…参考書見ろよ。
俺だって自分の勉強あるんだよ!」
「むぅ…。」
唇を尖らせてぶーぶー
言い始める和也。
俺はその唇を教科書で塞ぐ。