第1章 A×S【不規則な】session 1
相葉side
唇を離すと、翔ちゃんは
泣きそうな瞳をしていた。
…そうだよね。
好きでもない奴と、
しかも男となんて
キス、したくないよね。
「ごめん……」
自分が情けなくて
翔ちゃんに背を向けた。
ドアに手をかけたら、
背中に温もり。
「…雅紀、ごめん。」
「え?」
俺、翔ちゃんに
抱き締められてる…?
回された腕に力が入る。
「…ごめん。俺、雅紀が好き。
ずーっと勘違いしてた。」
「…翔、ちゃん…っ」
「泣くなよ。馬鹿。」
そう言ってる翔ちゃんの
声は震えていて。
俺は体を反転させて、
翔ちゃんを正面から抱き締めた。
「わっ…」
「翔ちゃぁぁぁん…」
翔ちゃんの服を、
濡らしたくなかったけど
そんなこと、考えられなかった。
ただ、嬉しくて…。
翔ちゃんと俺の気持ちが
同じで、伝わり合って、
想い合って…。
勇気だして、
翔ちゃんちに来てよかった…。