第1章 A×S【不規則な】session 1
和也を放っておくのは
可哀想だから、抱き締めてやった。
「…っ。
好きじゃないくせに、
優しくしないでよ…。
勘違い、する…。」
「嫌いなんかじゃないよ。
和也のこと、大好きだよ。」
俺は和也の頭を
優しく撫でた。
「でもそれは、恋愛感情じゃない。
和也のことも大事。
だけど…それより雅紀の方が
ずっとずっと大事なんだ。」
「…わかってる。」
和也は俺の胸に顔を埋めて、
涙を流し始めた。
「和也、家いこ。」
「うん…」
和也の家に行くはずが、
俺の家に向かっていた。
途中、和也がおんぶをねだったから、
仕方なくしてやった。
和也の前に紅茶をおく。
「ありがと。
ねぇ、翔…
相葉さんと付き合うの?」
「…わかんない。
怒らせちゃったから。」
「ふぅん…。
でも、相葉さん以外と付き合ったら
許さないからね!」
「え?」
なんでって聞き返す前に、
和也が喋る。
「…それは、俺が相葉さんしか
認められないから。
俺の上は相葉さんしかいない。
他の女の子なんて…俺より下だもんね。」
「ふはっ、和也ひでぇな。」
「ほんとのことだもん。
俺の方がぜーーーったい可愛い!」
和也は紅茶を飲みながら
そんなことを言う。
和也と話をしてたら、
家のチャイムが鳴った。
「ごめん。ちょっと出てくる。」
「うん。いってらっしゃい。」
玄関まで行って、
ドアを開けた。
「…雅紀……。」
「翔ちゃん、ごめん……。」
そう言って雅紀は、
俺を抱き締め……キスをした。
甘くて、優しいキス。