第1章 A×S【不規則な】session 1
「なんで、相葉さんなの?
俺の方が…翔をわかってるのに…
ねぇ、なんで?
いつも…雅紀雅紀って…
ずるいよ…。」
和也は俺に抱きついたまま、
ぽつりぽつりと言葉を落とす。
俺はなにも言うことができず、
和也の頭を撫でることしかできなかった。
「…そうやって、
なにも言わないの、
翔の悪い癖だからね。」
そう言って、またひとつ、
キスをしてくる和也。
潤んだ瞳が
いつもより可愛くて。
不覚にも、胸が高鳴ってしまった。
「…なんか言ってよ。
翔の気持ち…知りたい。」
「あ、いや、俺は…」
「…わかってるよ。
相葉さんだよね?
ずっと見てたもん。
俺は翔のこと見てるけど、
翔、相葉さんしか見てないじゃん。」
…え?
俺、雅紀のこと追いかけてた?
「そりゃ、相葉さんの方が
魅力一杯あるよ?
眩しい笑顔とかね?ちょっと天然なとことか。
…でも、俺との時間を
もっともっともーっと
大事にして欲しい…。
付き合ってなんて言わないから…。
傍に、居させてよ…。」
そう言い切った和也は、
今にも泣きそうで。
放っておいたら
消えてしまいそうで。
俺は…和也と雅紀、
どっちを選べばいいのかな。