• テキストサイズ

Bitter Sweet【気象系BL小説】

第1章 A×S【不規則な】session 1


櫻井side




一人、ぽつんっと
ベンチに残される。


誰もいない静かな公園。

昼下がり、こんなところに
一人でいる俺。


いや、ほんの数分前までは
隣に笑顔の眩しい奴がいた。


「翔ちゃんの、馬鹿…。」


そう言ったときの顔は、
怒ってなくて泣きそうだった。


あ…


やば…



あんな顔、させたくないのに。

なのに。


雅紀が俺のことを
まだ想ってくれてるのか
自信が持たなくて。

ううん。違う。


自分が傷付くのが
嫌で、怖くて。

付き合っても別れたときの
寂しさと悔しさ、悲しさを
味わいたくなくて。


自分のことばっか考えて
雅紀のこと好きだって
気付いたのは今。

…遅いんだよ。馬鹿…。


そうだよ。
俺は馬鹿だよ。


『翔ちゃんが好き。』


純粋な雅紀の気持ちを
俺は一瞬にして踏み捻った。


さっきだって、

雅紀が浮かんだ。

とか言ったくせに、
自分から話を逸らした。


期待させておいて、
また逆戻りさせる。


もう、こんな俺、
嫌いになってくれ。


どこにも行くあてなんかなくて。


「帰るか…。」


そう呟いたとき、
服の裾を摘ままれた。


「…翔……。」

「和也…?」

/ 123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp