第1章 A×S【不規則な】session 1
「ごめん…ははっ、俺、
なに言ってんだろ。」
翔ちゃんはそうやって
笑い飛ばす。
「それって…あの、」
「いや、別に雅紀とは友達だし?
一番の親友だから浮かんだだけでしょ?
それより、これからどこ行く?」
そう言って、
また話を逸らす翔ちゃん。
いつだってそうだ。
「…か。」
「え?」
「翔ちゃんの、馬鹿…。」
俺はそれだけ言って、
泣きそうになるのを堪えて
翔ちゃんを置いて公園を飛び出した。
…違う。
俺の欲しい言葉は
そんなんじゃない。
もっと、こう……。
何て言ったらいいかは
わかんないんだけど。
違う意味でもいいから、
好きって言ってほしかった。
友人としての"好き"と
恋愛としての"好き"って
全く違う感情なのを
翔ちゃんは知らない。
翔ちゃんを一人にしてしまった
罪悪感。
こんなはずじゃなかった。
もっと楽しく、
笑い合えると思ってたのに。
でも、こんな溝を
作ってしまったのは
俺、だから……。
"好き"って気持ちを
自分の中に仕舞い込んでおけば
今でも、これからも笑い会えていたはず。
自分勝手に行動して、
後先のこと考えなかったから
こうなったんだよな……。
ごめんね。翔ちゃん…。
俺、翔ちゃんみたいに
大人じゃないから
どうしたらいいかわかんない。