第5章 ◇8/10Birthday(ラビ)
時差があるからの行為だってことは納得できた。
……でも、だからって。
「わざわざアレンの方舟使ってまでして…クラッカー?」
移動は大層なもん使ってるのに、やることは凄く地味。
思わずそこをツッコめば、南の顔が恥ずかしそうにそっぽを向いた。
あ、自覚してたんさな。
「仕方ないでしょ。半日休暇取る方で手一杯で、何も用意できなかったんだから。………それにラビの欲しいものは"これ"でしょ」
これ?
「誕生日当日、私と過ごしたいって……そう、言ったでしょ」
恥ずかしそうにそっぽを向いていた顔に、微かに映る朱色の赤み。
………ああ、成程。
だからか。
やっと合点がいった。
だからわざわざこんな所にまで来て、クラッカーなんて地味なもんまで用意して……。
……。
……………嗚呼、どうしよう。
目の前のこの可愛い人、抱きしめてもいいかな。