第5章 ◇8/10Birthday(ラビ)
──ザ…
乾いた土に足を付ける。
今は8月、夏の季節。
それでも夏生まれのオレは割と暑さには耐性があるようで、そこまでキツさを感じたことはない。
そんなオレの肌にじっとりと纏わり付くような暑さ。
湿気を帯びたその暑さはオレには不慣れなもんで、流石に複数の汗が滲んだ。
その地に足を踏み入れたのは一度だけ。
それもAKUMAの巣窟と化した都市部だったから、観光なんて生易しいもんじゃなかった。
アレンが方舟を繋げた場所はその都市部とは別の場所らしく、嫌なAKUMAの気配なんてもんはない。
ただ、見覚えのあるものはあった。
自然と同化しつつ、石で作られた古風な階段や道。
伝統的な造りをした、ぽつぽつと並ぶ街灯。
真っ赤な鳥居に結ばれた縄紐にぶら下がった、幾つもの提灯。
此処は──
「…日本?」
南の国だ。