• テキストサイズ

廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第5章 ◇8/10Birthday(ラビ)






















 ──ザ…


 乾いた土に足を付ける。

 今は8月、夏の季節。
 それでも夏生まれのオレは割と暑さには耐性があるようで、そこまでキツさを感じたことはない。
 そんなオレの肌にじっとりと纏わり付くような暑さ。
 湿気を帯びたその暑さはオレには不慣れなもんで、流石に複数の汗が滲んだ。


 その地に足を踏み入れたのは一度だけ。
 それもAKUMAの巣窟と化した都市部だったから、観光なんて生易しいもんじゃなかった。

 アレンが方舟を繋げた場所はその都市部とは別の場所らしく、嫌なAKUMAの気配なんてもんはない。
 ただ、見覚えのあるものはあった。

 自然と同化しつつ、石で作られた古風な階段や道。
 伝統的な造りをした、ぽつぽつと並ぶ街灯。
 真っ赤な鳥居に結ばれた縄紐にぶら下がった、幾つもの提灯。


 此処は──




「…日本?」




 南の国だ。

/ 723ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp