第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「でもさー、そんなだとユウが可哀想じゃね?オレやだぜ、恋人が男とか」
「じゃあラビは南が男になったら好きじゃなくなるの?」
「……なんでそこで南が出てくるんさ」
「丸わかりだから兎さんの熱い視線を向ける先なんて。南が男だったらその想いは帳消し?」
「っ…それは…」
「それは?」
「わ、わかんねーよっオレ両刀じゃねーもん!雪と違って!」
「待って。心外。私も両刀じゃないけど。というか声が大きい此処書庫っ」
「? 何言ってんさその体でユウとイチャイチャしてる癖に」
「してないからっ」
声を抑えながらも互いに張り合う。
心外だと言わんばかりの顔をほんのり赤らめ、それでも雪は首を横に振った。
「言っとくけどノーマルなつき合いしかしてないからね。男同士でとか。無理無理」
「そうなん?ユウも雪もそっち系平気かと思ってたのに。つーか雪、頭まで雄化してね?」
「そうかなぁ…あ、でも最近リナリーとか椛が凄く可愛く感じる。見てるだけで癒されるし触れるとドキドキする」
「うーわーやべぇってソレめっさ脳筋雄化してんじゃん。それこそ横道逸れてるさ、戻って来い」
「そうかな。女の子って可愛いじゃん。可愛いは正義じゃん」
「それは否定しねぇけどさ。お前も女なんだって。思い出せ。そしてお前の相手はユウだって」
「ユウはなんて言うかな…良き理解者?こんな中途半端な私を受け入れてくれてるし、ベストパートナーと言うか」
「健全な?」
「そう健全な」
「ほお健全な」
「「!?」」
体を屈めてコソコソと会話を交える男が二人。
その背後にぬっと掛かる影が一つ。
聞き覚えのある重低音な響きに、ピシリと二人は体を強張らせた。
パタン、と本を閉じる音。
恐る恐る振り返った雪とラビの目には、世にも珍しい本を片手に仁王立つ眉目秀麗の彼の姿が映し出された。