第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
そして何よりの問題は。
「うーん…」
「何読んでんだ、さっきから」
「うん?次の任務の事前情報」
「次の任務っていつだよ」
「一週間後かな。寒い地方だし、しっかり防寒して行かないとなぁ…」
夜。
ベッドのシーツに付いた頬杖で顔を支えたまま、ベッドに腰掛けた雪の背中を見る。
いつまで経っても寝る様子のない雪に、溜息をつきつつ横になっていた体を起こした。
「あっ何するの?」
「一週間後ならまだ時間あんだろ。いつまでチェックしてんだよ、もう1時回るぞ」
「別にそれくらい…明日はお互い非番でしょ」
熱心に覗き込んでいる手元からファイルを取り上げる。
やっとのことでこっちを見た雪から隠すように、ファイルは俺の背後へと押しやった。
女の時も元々色気ある格好なんて皆無だったが、男になって更に…なんつーか、もさっと感が増した雪。
シャツにハーフパンツという微塵も構えていない寝間着姿に手を伸ばした。
「非番なら仕事以外のことやれよ」
「ユウがそんなこと言うなんて珍し──」
肩に手を置いて、女らしさなんて微塵もないそいつに顔を寄せる。
距離を縮めれば、勘付いた雪の声が途切れる。
と同時に、薄い唇に俺の唇を押し当てた。
軽く押し当てた唇をすぐに離して、角度を変える。
そうして何度も柔らかいそれを味わっていれば、やがて雪も身を委ねた。
微かに開く咥内に賺さず舌を差し込み味わう。
「…ふ、」
くちゅり、と粘膜の擦れる音が立つ。
合間に零れる雪の吐息に、肌がそわりと粟立った。
…ここ最近、全くと言っていい程体を重ねていない。
そう悟れば欲が表れるのは早かった。
「ん、…ん」
求めれば応える。
絡まる舌先に、了承の合図だと見た雪の肩をそのままシーツへと押し付けた。
色気のない野郎の寝間着姿でも、相手が雪なら問題ない。
唇を奪ったまま剥き出しの素足に片手を滑らせる。
ぴくりと震える舌先が、更に欲を駆り立てた。
───が。
「っんん、待っ…待って!」
「あ?んだよ」
甘い抵抗なんてもんじゃない。
はっきりと強い力で胸板を押し返されて、あっという間に雰囲気はぶち壊された。