第58章 ストック
Sho side
潤が席を立ったのを
ニノが追いかけようとしたから
俺が行く…と
皆がいる席を立った
気分が悪いのかと思って来てみたけど…
来てよかった…
潤が涙を零しながらも
今のため込んだ想いを届けてくれたから…
俺はそれを噛み締めた
翔「勝手なんかじゃないよ…じゅん…話してくれてありがとう…」
抱きしめられないけど
涙を拭ってあげられないけど
その代わりにハンカチを差し出した
潤「っ…ぅ…ごめんね…っ…肝心なコト…思い出せなくて…っ…」
翔「そんなこと言うなよ…大丈夫だから…今の潤が俺の傍に居てくれるなら…それでいいんだよ…」
そりゃぁ…大事な思い出だよ…
でも…俺の中でそれは消えてないし
たとえそれを共有できなくても
まだこれから…
いくらでも積み重ねることが出来る
俺達が一緒に居ることができるのなら…
まだいくらだって想い出は増えていくんだから…
翔「今日は帰ろうな…俺たちの家に…」
そう言うと…こくんと頷いてくれた
雅「2人とも…無理しちゃだめだよ…?」
ありがとう…
雅紀の言動にはいつも癒されるし救われる
雅紀は本気で心配してくれる
潤もそれはわかってるから
潤「ありがとう…」
俯きながらも小さく御礼を言った
帰りの車は行きと同じで
殆ど会話らしい会話は無かったけど
赤信号のたびに助手席を覗くと
ほんの少しだけ視線が絡んだりして…
息苦しさはほとんどなかった