第58章 ストック
Sho side
何やってんだ…
潤が寝室に入った後
残された1本のネックレスと指輪を握りしめて
その拳を自分の額に何度もあてた
せっかく潤が記憶を手繰り寄せて
歩み寄ってくれてるのに
なんで待ってやることすらできないんだろう…
大切なモノを…ちゃんと持っていてくれるって言うんだから…それでいいのに…
ひとつ,光が見えると
すぐに次のモノを求めたくなる
それじゃ潤を苦しめるだけなのに…
残りのビールを一気に流し込んで
俺はソファベッドに横になった
昼間,そこで潤が寝ていたから
微かに潤の匂いがする
それを感じたら涙が零れたけど
知らないふりをした
苦しいのは潤なんだ…
俺が悲しんでる場合じゃない…
何度も言い聞かせて目を閉じた
次の日は全員でライブの打ち合わせのために事務所に集合することになっていた
早めに起きてシャワーを浴びて
朝食は作れないから
コンビニでおにぎりやサンドイッチを適当に買ってきた
そろそろ潤を起こさないといけない時間…
でも昨日…怖い思いをさせてしまったから
どうやって声を掛ければいいか
朝起きてから
俺はそのことばかり考えていた
数分…寝室の扉の前で立ち尽くしてから
意を決して扉を叩く
トントンと何度かノックしても返事はない
翔「潤…そろそろ時間だから…あけるよ…?」
返事のないまま
できるだけそっと
寝室の扉を開いた