第58章 ストック
Jun side
事故のとき
翔くんが見せてくれたネックレスを掴んだのを思い出してから
ずっと…あの指輪が気になっていた
思い出せないけど…
たぶん…きっと…咄嗟に守るくらい大切なものだったんだ…と思って
置いたはずの場所を探したときには
もうそこに指輪はなかったから…
だから
それが俺の首にかけられて
いつか…ちゃんとわかる日まで
こうして持っていようと思って
嬉しくて笑いかけると
翔くんの両腕が伸びてきて
躰が引き寄せられた
潤「…っ」
その瞬間躰が強ばった
潤「やっ……」
躰に回った腕を振り払うのと同時…
翔「っ…ごめん…っ」
翔くんの腕が解かれた
目も合わせられるようになったし
手も触れたし
髪に触られても平気…むしろ気持ちよかった…
でも
やっぱり…こういうのは…怖くて…
躰がカタカタと震え出す
少し早くなる呼吸を聞かれたくなくて…
翔くんの傷ついた顔を見たくなくて…
潤「ごめっ…も…寝るね…」
翔くんの返事も聞かずに
飲みかけのビールをキッチンにおいて
そのまま寝室に逃げ込んだ
潤「っ……はぁ…っ」
深く…呼吸をしながら…
布団に潜って震える躰を抱き締めながら
ぎゅっと瞼を閉じた