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センニチコウ-変わらない愛を永遠に-

第58章 ストック


Sho side

潤が無意識に俺の好きなモノを作ってくれる

思い出したわけじゃないけど
“無意識に”ってのが
俺の存在がしみついてるみたいで
逆に…嬉しい…

ほんの少し前まで…
俺の存在だけが無い…

なんて落ち込んでいたのに

今はこんな些細なことが嬉しくて…

我ながら現金なヤツ…と思うけど
嬉しいものは嬉しい…


事故の前と同じように
ソファの前のラグに並んで座って
潤のお気に入りだったグラスにビールを注ぐ

「「乾杯っ」」

軽く重ねると綺麗な音を奏でた

潤「あの…」

一口ビールを飲み込んだ潤が
俯き加減で…躰だけを俺に向けた

潤「あのね…俺が持ってた…指輪…」

俯いたまま…切れ切れに言葉が繋がる

翔「……これ…?」

俺は風呂上がりにつけ直した
2本のネックレスを首から外した

潤「…持っててくれたんだ…」

翔「…ぁ…うん…ごめん勝手に…」

指輪を手渡してすぐ
潤の机の上に置かれたままの指輪を見ているのが辛くて
ネックレスに通してまた自分の首にさげた

いつか…渡せるときが来ればいい…
そう自分に言い聞かせて…

潤「事故の時にね…車にぶつかった瞬間…胸にさげてたこれを手で掴んだ記憶があって…」

言いながらネックレスに通った指輪をジッと見つめてギュッと握った

その姿が映画のワンシーンみたいに見えて…
どこか客観的に潤を見ていた

雅紀…雅紀が言ってた嘘みたいなドラマの話…
あながち間違ってないのかもしれないよ…

翔「守ってくれたんだな…ありがとう…」

俺がそう言うと
ぱっと顔を上げて
少しだけ微笑んでくれた

俺はいつも潤に守られてる

10年前も…今回も…

俺はどうしたら潤をこの手で守れるんだろう…

潤「これ…ひとつ…俺が持っててもいい…?」

遠慮がちに俺に聞く
本当は…全部思い出してから…と思ってたけど…

潤が持っていたい…というのに
俺に拒否権は無い…

翔「…もちろん…」

俺はネックレスを2本とも受け取って
潤の方を選んで潤の首にかけた

潤「ありがとう…」

嬉しそうに笑う潤は…可愛いけど…
その指輪に込めた想いとはやっぱり違う気がして

取り戻せていない2人の想いの隙間を埋めたくて

俺は思わず潤の躰を引き寄せて
抱きしめてしまった
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