第58章 ストック
Jun side
温風と翔くんの指先が
ふわふわと髪にあたる
この空間そのものが心地よくて…
昨日まで感じてたはずの怖さはそこにはなかった
翔「乾いたよ」
その声とともに温風が止まって
潤「ありがとう」
そう言うと
翔「俺も風呂入ってくるね?眠かったら先寝てていいよ?」
そう言って翔くんが浴室に消えていった
その背中を見送ってから
キッチンに立った
簡単に冷蔵庫に入っていたアサリでつまみになりそうなものを作って
小皿に盛り付けて翔くんがあがってくるのを待った
少しするとスウェット姿の翔くんが風呂からあがってきた
潤「翔くん…」
水を飲もうとしてる翔くんに呼びかけると
翔「んー?」
視線がこっちを向いた
俺もキッチンに行って
冷蔵庫からさっき作ったつまみとビールを出して
潤「ちょっとだけ…一緒に飲まない?」
それを見せると
翔くんの目が見開かれた
翔「それ作ってくれたの…?」
潤「あ…うん…嫌いだったかな…」
あんまりびっくりされるから…不安になる…
でも
翔「やっ…貝すきだよ…ありがとう」
そう言って
すごい喜んでくれるから
潤「よかった…」
ほっと息を吐き出した
翔「でも…飲んで大丈夫…?」
心配そうに翔くんが見つめてくるけど
潤「薬飲んだりしてるわけじゃないもん…平気だよ?」
そう言ってビールをテーブルに運んだ
眠気もあるけど…
穏やかななこの空間でもう少し起きていたかった