第58章 ストック
Sho side
「萩原は…逮捕されてるし…この証拠もあがってる…確実に重い処罰を受けるし,絶対に世間に公表しない根回しはできてるから…心配しないで」
ホントに力のある会社なんだな…と改めて思った
「当然でしょ…?こっちが加害者ならともかく…被害者で…なんの得にもならない事件…今,嵐にそんな噂がたったら困るのよ」
すがすがしいほどに仕事目線で
逆に気持ちよかった
「でも…本人のことは…櫻井に任せるのが良いと…私はそう思ってるから…」
専務がまっすぐに俺を見た
翔「…はい…」
「櫻井……もうわかってると思うけど…人に頼ることができるのも,強さの1つよ…?要は使い方次第…だから使えるものはなんでも使いなさい…こっちはいつでも準備できてるから」
翔「……ありがとうございます」
やっぱり俺たちは甘やかされてる…
突き放されているようで
きちんと身を守るモノを用意してくれてる
34のいい年になったって…
俺たちは何も変わってない
無力なんだ…
でも…
積み重ねた経験と思い出が俺達を強くしてくれる…
だから…
こんなことに負けない…
絶対に潤を守る…
翔「ただいま…」
家に帰るとリビングから賑やかな声が聞こえてきた
昌「おかえり」
キッチンから顔を出して
出迎えてくれたのは
まさかの松岡くん
翔「び…っくりしたぁ…」
昌「ははっ…良い反応っ…松本も帰ってきてんぞ」
翔「あ…はい…ありがとうございます…」
松岡くんは俺をジッと見つめて
肩をぽんっと叩いてくれた
昌「おぉ…」
翔「な,なんですかっ??」
昌「櫻井…おまえ…肩ねーな…」
翔「はい??何言ってるんですかっ…」
そんなどーでもいい会話があったから
肩に必要以上に入っていた力も抜けて…
リビングの戸を軽い気持ちで開けることができた