第58章 ストック
Jun side
潤「や…だっ…」
それは…もちろん…斗真に聞く前に浮かんでた
本当に付き合っていたのなら…
一番何かを知ってる可能性はあると思ったから…
でも…翔くんと向かい合って話すのは…怖い…
俺に向けられる好意を
感じてしまうのが怖い…
ズキ…と痛み始めた頭を抑えると
斗「ごめん……」
斗真の目が伏せられた
潤「俺こそ…ごめん…っ…でも…怖いんだっ…ねえっ…なんで…?」
なんで怖いの…?
なんで俺は男と付き合ってたの…?
なんで翔くんは俺を好きなの…?
なんで俺はなにもわからないの…?
こんなこと斗真に言っても仕方ないのは…わかる
それでも…コントロールできなくて
ポロポロと零れる涙を拭いながら言葉を紡ぐと
斗「怖いな…でもさ…どうしても無理なら俺も一緒にいてやるから…“恋人”としてじゃなくてもいいから…一度翔くんと向き合って話してみたら…?逃げてるなんて潤らしくねーよ…?」
そう言って…
優しい顔で…ティッシュを俺の隣に置いてくれた
斗「ほんとに平気?」
家の前まで斗真が送ってくれて
降りようとすると心配そうに視線を送ってくる
潤「ん…わかんねーけど…とりあえず…頑張る…」
帰って…翔くんも帰ってきたら…話をしてみる…と伝えると
一人で大丈夫か?と何度も斗真は心配してくれた
潤「それに…メンバーもいるし…」
そう言って深くキャップを被り直してドアを開けた
斗「そっか…がんばれよっ!また飲みに行こうぜ」
ふっと笑って送り出してくれる斗真に
潤「ん…ありがとな…」
ぎこちなかったかもしれないけど…笑い返して
玄関のドアを開けた