第4章 navy blue scene1
「忘れ、させてよ……」
「…え?」
「忘れさせてよ。辛いんだよ。もう、耐えられないんだよ…」
血を吐くような吐露だった。
「俺、ちゃんと主演できてる?不安で堪らないんだよ。会う人会う人、お世辞しか言わない。そういう世界だってわかってるけど、でも…」
ぐっと何かを耐えるように黙る。
「もう限界…限界なんだよ。松潤…忘れさせてよ」
ぐいっと、身体を離して俺の目をみる。
「今晩だけでいいから」
そう言うと、泣きだした。
あまりにも脆い姿だった。
俺は立ち上がると雅紀の手首を掴んで、自分の寝室へ連れて行った。
そのまま雅紀を横たえ、服を脱がせた。
その間、雅紀は泣き続けた。
涙はとどまることを知らない。
嗚咽の漏れる唇を塞いだ。
強引に唇を抉じ開け、雅紀の舌を絡め取った。
口角を舌でなぞり、再び口の中へ舌を入れる。
唾液の絡むいやらしい音が、寝室に響いた。
「雅紀…」
唇を外すと、銀色の糸が引いた。
それは、俺と雅紀を繋げる脆い糸。
どんな不安定な関係でもいい。
許されない関係でもいい。
今は、溺れたい。
雅紀の肩の痣にキスをする。
何回も何回も。
それごと雅紀だから。
その痣だって、愛せる。
それから、手術の痕も。
それも雅紀だから。
全部キスをした。
「なんで…?」
雅紀は泣きながら訊く。
「これも雅紀だから。愛してる」
そういうと、乳首に唇を這わせる。
それを口に含むと、嗚咽の中に違う声が交じる。
輪郭にそって、舌を這わせる。
立ち上がってきた突起を更に舌先で刺激する。
ビクンとそのしなやかな肢体が揺れる。
「ああ…」
吐息が口から零れたことに喜びを覚えて、また逆の乳首を口に含む。
舌で転がすように突起を弾いていると、嗚咽がどんどん少なくなっていって、その口からは吐息が溢れた。