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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第4章 navy blue scene1


それからは、雅紀は頻繁に俺の家を訪ねてくるようになった。

あんまり頻繁にくるものだから、俺は合鍵を渡した。

てっきり拒絶されるかと思っていたから、受け取ったときはびっくりした。

ほんとにいいの?と聞くから、別に、とぶっきらぼうに答えた。


段々と雅紀の荷物が増えていく。

それは、洗面所に、バスルームに、客間に、リビングに。

ちょっとずつ、居場所を主張するように増えていった。

雅紀が居ない日でも、雅紀の存在を感じた。


合鍵を渡しているのに、雅紀は来るときは必ず連絡を入れてくる。

それは、とても短い文章。

『今晩、行っていい?』



泊まると、必ず一緒に寝る。

寝る前には、唇に触れるだけのキス。

目覚めたら、またキス。

キスの合図は、見つめ合うこと。

無言でみつめていると、どちらからともなくキスをした。

それ以外は、いつもの雅紀と俺。

性的な意味での接触はなく、雅紀が俺にもたれて眠る以外はなんら以前と変わりなかった。

こんな曖昧な関係が1ヶ月以上も続いた。


俺は、少し苛立ちを感じていた。

こんな曖昧なまま、時が過ぎていくのが苦しかった。

でもその苦しさを雅紀にぶつけることは、できなかった。

プレッシャーに押しつぶされそうになって、どんどん痩せていくアイツには何も言えなかった。

ただ、俺には抱きしめて、背中を擦ってやることぐらいしかできなかった。



また今日も、短いメール。

いつものロケ車で移動している最中だった。

『今晩、行っていい?』

俺は車窓を見ながら、考える。

雅紀のドラマの撮影が終わってしまったら、この曖昧な関係も終わるんだろうか。

あと二週間でオールアップだと聞いている。

俺と雅紀の関係は、あと二週間?


そもそも、一体俺たちの関係ってなんだ?

壊れるものがあるのか?

わからない。

わからないけど、二週間後には俺達に必ずなんらかの変化が訪れる。

それは俺にとって、暗い予感だった。

『いいよ。何時頃になる?』

そうメールで返事を打つと、また車窓に視線を移した。

けど、なんにも見えなかった。

俺の目には、雅紀しか映っていなかった。
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