第4章 navy blue scene1
気が付くと、いつの間にか俺も寝ていたようで。
うっすらと目を開けると、部屋がまたうすい紺色に染まっている。
ああ、今日も満月だったか。
あれからちょうど一ヶ月経っていた。
月光が部屋に差し込んできて、幾筋も光の線が部屋に描かれていた。
その一つが雅紀に当っていた。
雅紀は俺の方をむいて眠っていた。
長いまつげに月光が弾かれていた。
とても綺麗だった。
深い眠りについているのか、身動ぎひとつしない。
くぅくぅと小さな寝息を立てて眠っていた。
俺は、そのまつげに触ってみたくなった。
指を伸ばすと、そっとそのまつげに触れた。
柔らかい、くすぐったい。
その時、雅紀がごろりと寝返りを打った。
バスローブがはだけて、胸があらわになった。
胸の横に、もう何年も前になる手術の痕を見つけた。
あの時もそういえば雅紀はずっと落ち込んで、大変だった。
ふっと唇が緩む。
あの頃は、落ち込んでいることを隠そうとせず、泣いていたものだが。
今は、雅紀なりに必死に隠そうとしている。
周りに心配かけまいと、彼なりに精一杯やってる。
……バレバレだけど。
「今は…何を悩んでるの…?」
言った言葉は、雅紀に届くことはない。
けど言わずには居られなかった。
手を伸ばし、手術痕に触る。
無意識に俺は、雅紀の胸に口づけた。
そして、キスマークをつけた。
この前俺がそうされたように。
つけ終わると、急に正気に戻った。
慌てて寝転がった。
俺、なにやってるんだろ。
相手は、雅紀なのに。
自分のやったことに混乱していると、雅紀が起き上がった。
「えっ…起きてたの?」
思わず聞く。
雅紀は無言で、俺の胸に飛び込んできた。
そして両手を俺の身体に回すと、ぎゅっと抱きつき、俺の胸に顔を埋めた。
「雅紀…?」
「このまま…ね?」
そういうと、少し顔を上げて俺を見つめた。
暫く、そのまま見つめ合った。
不意に雅紀が目を閉じた。
俺は、それに吸い込まれるように雅紀にキスをした。
唇に触れるだけの、キスを。
キスが終わると、雅紀はそのまま眠った。
俺は、朝まで眠ることができなかった。