第1章 きみどり scene1
「ふーん…そっか。眠れなくなってたんだ…」
大野さんはまだ眠いのか、目をこすりながらも俺の話を聞いてくれた。
「ごめんね。黙ってて」
「いや…俺でも黙ってると思うから。あんま気にすんなよ」
この人、意外とこうやって俺の話をいつも受け止めてくれる。
正論を振りかざしたり、へたな友情論とかを押し付けてこない。
だからこの人と居るのは、心地いい。
だけど…これ以上は甘えられない。
「ありがと。まだ眠いでしょ?私、帰るからゆっくり寝てよ」
立ち上がった俺の腕を、大野さんはがっしりと掴んだ。
「え?なに?」
「寝てけば?」
はあ?何を言っているんだ。
俺は枕が変わると、余計に眠れないんだっ
「俺と居たら、眠れるよ?」
「え?なに言って…」
そう言ってる最中に、俺は大野さんの方へぐいと引っ張られ、倒れこんだ。
イマイチ状況が理解できず、冷静になってみると俺は大野さんの胸に抱かれていた…!
「わわわ、俺、そんな趣味…」
「わーかってるよ!俺だってそんな趣味ねえよ」
そんなことは、今までずっと一緒に仕事をやってきてるんだから知ってる。
でも、あまりのシュチエーションに動揺してしまった。ここは収録の現場でもない。なんでもない。
大野智の家なのだ。
嵐の一員として居るわけじゃない。完全にプライベートな空間なのだ。
そりゃ、現場ではふざける。カメラが回ってたらファンの子が喜ぶようにじゃれついてみたりもする。
けど、今は違う。
頭の中がぐるぐるパニックを起こしている間に、大野さんは俺の背負っていたリュックを引きはがすように取って、床に転がした。
そして上着も手早く脱がして、リュックの上にほっぽり出した。
そのまま俺の頭を抱えて、大野さんの上着の中に俺を抱きしめた。
「おっ大野さん…」
「なんもしやしねえよ。寝ろ」
もうわけがわからなかった